東北地方は自動車産業、国内第3の集積基地として、今後の日本の自動車産業を支える地域になると期待されていたが、東日本大震災により、部品等の供給遅延や操業の再開の遅れなどにより他地域、海外等への付け替えが懸念されている。東北地域の復興、復旧には地域を支える産業が不可欠であり、集積の進んでいた自動車関連産業を維持発展させ、東北地方の基幹産業としての地位を確立することが望まれている。宮城県では、自動車関連産業や高度電子機械産業等の企業誘致活動を展開するとともに,地元企業の取引拡大等に向けた支援を行うなど, 更なる産業集積を図る計画を推進している。
自動車を動かすことが目的であった電子制御は、高度化・複雑化が進展し、安全を確保するシステムへと転換している。駆動系、制動系、電装系の各システムがそれぞれ独立して動く仕組みから各システムがネットワークで高度に連携するシステムの研究開発が進み、エアバッグやシートベルトなどの電気制御された安全システムは、自動車を自動的に調整・変更し、事故の回避や事故が起こったときのリスクを最小限に抑える仕組みが構築されている。また、通信システムの高度化に伴い、自動車内での外部情報取得、自動車の走行記録や位置等の情報収集などクラウド上での双方向のやり取りが実現し、連携したシステムの開発が実用化されている。更に電気自動車の発展は、自動車組込みシステムの進展を加速させ、複雑化、高度化したプログラムの開発やインターネットとの融合する技術が必要である。
東北地域の復旧、復興のためには自動車関連産業や高度電子機械産業等の高度化・複雑化した電子制御技術に対応した人材の育成が重要であり、かつ急務である。
本事業では、宮城県の産業界、教育機関、行政機関等が連携し、また、他の地域の専門学校、企業、業界団体の協力を得て、東北地域の産業復興を担う自動車組込みエンジニアの育成を実施する。育成にあたり昨年度事業の成果を活用するとともに、推進協議会で課題とされた、自動車に関するドメイン知識やCAD等の周辺技術及び東北地域の人材育成基盤強化のための裾野の広い技術教育の取組みを行う。本事業の取組みを通して自動車産業人材育成を推進し、東日本大震災からの復旧・復興を支援する。